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2020年01月25日

タンクマに捧げるバラード~熊本県民に人生を教えてくれた雑誌~

 金が無かった若いころ、足繁く通ったラーメン屋がある。大人になってからは足が遠のいて行かなくなってしまったけど、味や店の雰囲気、店主のオヤジの不愛想さは今でもなんとなく心に残っている。間違いなく僕の青春の1ページだ。
 でも昨日たまたまそのラーメン屋の前を通りかかったら、入口に張り紙があった。
「閉店しました」
 身体の何分の1かをいきなり失ってしまったような衝撃に、僕は呆然とその場に佇むしかなかった。

例えるならばそんな感じかな。
「タウン情報クマモト」(タンクマ)休刊。

tankuma
「タンクマ」が休刊 創刊40年、来月の3月号で(1/25熊本日日新聞)


 本当に驚いた。
 このご時世、地域の“食う寝る遊ぶ”の情報で商売を続けることが相当厳しいことは想像に難くない。だってみんなネットだもん。子曰く、タダほど安いものはなし。
 そんな時代に抗い、無料では得られない「価値」を模索し続けたタンクマスタッフの皆様には、書店員として頭が上がらない。
 そりゃ僕の心情としては「休刊ってそりゃないよ、タンクマさん。もっと一緒にやろうよ」って気持ちはある。地元タウン誌にしかできないことはまだまだたくさんあるから。でも、雑誌の収益構造というリアルな部分から考えると、想いだけではどうにもならないのだろう。
 
 タンクマさんとまるぶんは地元出版社・地元書店としてお付き合いも深かった。
 何度もまるぶんを紹介してもらった。
 何度もタンクマフェアをやらせてもらった。
 九州新幹線全面開通のときはものすごくデカい看板を作成してもらい大々的にPR。
 店のカッパ像にスタッフさん手作りのウエディングドレスを着させてもらった。
 熊本地震の直後、まるぶんが店を開けられずにいるとき、タンクマの「元気です、熊本」号の表紙にまるぶんの看板を入れてもらった(ついでに僕も表紙に混ぜていただいた。ホントに元気になりました)。
 ラーメン特集のデモ販売のとき、スタッフさんが頑張りすぎて周囲のお店から怒られたのは内緒の話だ。
 エピソードを挙げればキリがない。まるぶんは、タンクマともに歩んできたんだなあ。

 また突然の休刊にSNSも大騒ぎ。
 多くの人が驚きとともに、自身のタンクマにまつわるエピソードを懐かしそうに投稿していた。そんな「みんなの青春の1ページ」で溢れたタイムラインは、何ともいえない温かさに包まれていた。
 コレだよ、ネットでは得られない「価値」とは。
 だって創刊40年だよ。どれだけの熊本民がタンクマのお世話になってきたことか。僕らはきっと、恋した分だけ、遊んだ分だけ、楽しんだ分だけ、“熊本の情報“という無数の「タンクマ砲」を浴びて生きてきたのだ。

そういえば冒頭で書いたラーメン屋、あそこもタンクマで見つけたんだっけ。 
サンキュー、タンクマ。
僕の青春をありがとう。
とりあえずあと2号、楽しみにしてます。

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Posted by 金龍堂まるぶん店 at 16:00│Comments(0)出版界を思う
 
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