「あっ、クリリンだ」
冬休みの上通りアーケード。
歩く僕の右斜め前を通り過ぎようとする坊主頭の少年は、「亀」マークがプリントされたオレンジのTシャツを着ていた。
2016年のリアル・クリリンである。
そういや僕は子供のころ、自分のオレンジのTシャツにマジックで「亀」と自分で書いて、親にお目玉くらってたっけ。
イマドキの子どもたちも『ドラゴンボール(以下DB)』が好きなんだな。
そういえば、昨年末に行われた小学3年生のまるぶん職場体験でもだ。
子どもたちに「どんなマンガを読んでいるの?」と聞いたら、2つめくらいに『DB』が出てきたのには驚いた(1コ目は『ONE PIECE』だったかな・・・)。
主人公の「孫悟空」なんて中国伝記のパクリなのに、いまや全世界で本家より有名だ。
多くの日本の子どもは中国がパクったと思っていることだろう、他がそうだけに。
あと、ちなみに僕(42才)のデスクの下敷きも『DB』である。
コレ、何ゲにスゴくない?
マンガ『DB』の連載開始は1984年。なんといまから32年前、バブル景気前夜のニッポンチャチャチャである。
まだ平成にもなっていないあの頃の記憶が今もココに。
それからずーぅと、『DB』は僕たちのバイブルであり続け、孫悟空はずっと僕たちのヒーローである。
こんな作品が他にあるだろうか?
いや、あるよ、他にも。
『キン肉マン』や『北斗の券』だっていまだに語り継がれている名作だろう。
しかし、これらを語ることは過去を語ることであり、ノスタルジーである。
それは2000GTに乗りながらビートルズを聴くようなものだ。
『ドラえもん』とか『アンパンマン』も長く愛されているが、如何せん子どもに限られる。
それは親子で歌う『夕焼けこやけ』のようなもので、基本的には子どものモノなのだ。
『DB』は別格である。
バブルが弾けようが、ゆとり教育が始まろうが終わろうが、たとえベッキーが不倫をしようとも、わき目も振らずニッポンのサブカル・メインストリートのど真ん中にあり続ける(今も!)『DB』の存在は、我々が思うよりもっと大きな奇跡なのである。
冒頭のリアル・クリリンくんなんて、いわば現在の小学生が聖子ちゃんカットで街を歩いているようなものだ。
ハッキリ言って、教科書に載せて良いレベルだ。
これは何かに似ていると思わない?
そう、ミスターである。
サタンじゃないよ、長嶋茂雄のほう。
昭和のニッポンプロ野球を国民的娯楽に引き上げた大スター、ご存じ”ミスタープロ野球”、長嶋茂雄。監督時代を含め、長きわたって世界の中心で野球愛を叫び続けてウン十年。いまだに「困ったときのミスター頼み」とばかりに担ぎ出されるミスターは、いまだに日本プロ野球界のど真ん中。
『DB』は長嶋茂雄にに匹敵する日本文化の象徴なのだと思う。
ミスターが昭和ニッポンを作ったのなら、『DB』は平成ニッポンをつくったのだ。
いまを生きる僕たちは、もっと大きな称賛と敬意を贈らねばならない。
今回の結論。
ニッポンマンガの奇跡、”キング・オブ・ジャパニーズカルチャー”、『ドラゴンボール』。
ぜひクリリンに国民栄誉賞を与えて欲しい。その価値は十分あると思うのだが。
えっ、なぜ孫悟空じゃないのかって?
そりゃ、だって悟空はサイヤ人。
日本国民ではないからチョット・・・